子供の頃、友達と仮面ライダーとウルトラマンが戦ったらどっちが勝つか?
みたいな討論をよくした。
夢の対決、というやつである。
当時実現するはずのないライダー対マン夢の対決に、
ライダーびいきの子供だった僕は、「絶対ライダーが勝つ!」と言い張った。
ちなみに、ライダー代表として僕が選出したのはスーパー1であった。
それに対してウルトラマン代表はレオ。
連日、ライダーはこういう技で攻める、ウルトラマンは飛べる、
みたいな言い合いが続き、
両者一歩も引かない夢の対決は長きに渡った。
スーパー1は拳法で戦うライダーだった。
エンディングテーマの歌詞にも出てくる「赤心少林拳」を使い、
怪人をバッタバッタとなぎ倒していくのだ。
くしくも、ウルトラマンレオも他のウルトラ兄弟に比べて光線技は苦手としていて、
宇宙拳法の達人という設定である。
これは拳法家同士の本格的な果し合いが見られそうではないか。
しかし、友は抜け目のない男であった。
僕が、スーパー1の必殺技や、ジャンプ力などで
アドバンテージを取ることにやっきになっていたところ、
彼はレオの強さの主張だけではなく、我がスーパー1の技の破り方、
弱点を分析した上でレオの優位性のアピールをするなど、子供ながらにクレバーな奴だった。
ときにはなんと、悲壮感ただようレオの有する重いテーマを持ち出し、
(レオはウルトラ兄弟と同じM78星雲出身ではなく、故郷の星が崩壊しそこで生き残り地球にたどり着いた...。地球人にも受け入れられず、しかし故郷はなく、自分の存在に心揺らぐ...みたいな。)
私の心を揺さぶりに掛かるテクニシャンでもあった。
子供にあるまじき、分析能力と心理戦強者ぶり。
船井総研はすぐさま彼をスカウトするように。
そして、徐々に彼の鋭い攻めに耐え切れなくなった僕は最後の手段として、
「スーパーワンは視聴率がいい!」とぶちまけた。
なんと、武道家同士の純粋な力対力の勝負に、
全く別次元の力を持込み、逆転を図ろうと思ったのだ。
友に対する裏切りとも言える超卑劣行為である。
しかし確かに当時のスーパーワン人気は高く
視聴率は最高28%、最終回まで平均20%前後を保つという
今にしてみれば超高視聴率番組であった。
それに対してレオは歴代ウルトラマンの中でも、テーマが重く人気があるとは言えず、
平均11%前後止まりであった。
視聴率など大人の事情。
子供の気にする数字ではないのだが、なんと予想以上にこれが効いた。
彼はやはり賢い男で、視聴率というものが番組制作の上では命よりも大事なものであり、
この数字が世間の評価の絶対的な指針になることも知っていたのだ。
予想以上にラッキーパンチが芯に当たった僕は、
毎日これでもか、これでもかと視聴率の話を膨らました。
この世にはビデオリサーチっていう会社があって、
数世帯に一台視聴率測る機械を取り付けるんだぜ~、みたいなことを日々周囲に撒き散らし、
視聴率絶対主義者として、欽ちゃんは凄いのである!ドリフを見ない奴はアホである!
と、なぜかインチキ業界人化した。
そして、調子に乗りスーパー1は凄いよね~みたいなことを毎日言い放つ僕に、
彼は我慢の限界を感じたのであろう、遂に
「ウルトラマンは大きいから!ライダーなんて小さいから!踏んだら死ぬから!」
と言った。
我らのヒーロー戦わばどちらが勝つか?
これを論ずるとき大きさのことは考えない、という暗黙の了解が僕らの間にはあり、
とりあえずこの技とこの技との優劣はどこにありや?みたいな話で盛り上がっていたのだが、
「それを言っちゃあ...。」という空気がクラス中を包んだ。
あれだけ論理的かつ、冷静にクールな分析をしてきた彼が、
最終的にはウルトラマンは大きいから絶対勝つ、という誰もがスタート地点においてきた黄門様の印籠をここで出してくるとはまさか...。
しかし、さきに視聴率という飛び道具を持ちだした僕がそれに文句を言えるはずもなく、
なんとなくこの話題は口にしなくなり、結局夢の対決が決着することはなかった。
そんなことを思い出し、子供の頃って子供ながらに色々考えていたなぁ、なんて思い、
今これだけ真剣に考えている、と思っていることは子供の頃と同じ熱量で考えられているのだろうか、と思ったり。
ここで、あの頃の友達に言いたい。
おい、変身前の姿で戦えばいいじゃん!
やっぱり子供アホ!





